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雨の日のうねり・広がりは「水分」ではない。「水素結合」の崩れを防ぐCMC補修ケアの正解

  • 執筆者の写真: 才野 栄治
    才野 栄治
  • 12月2日
  • 読了時間: 5分

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はじめに:湿気で髪が広がるのは「水分」のせいではない


朝、完璧にセットしたはずの髪が、湿度の高い雨の日にあっという間にうねり、広がり、まとまらなくなる…。これは多くの人が抱える共通の悩みです。

この現象の原因は「髪が水分を吸いすぎるから」と考えられがちですが、根本的な原因は**髪の内部構造にある「結合」**の崩壊にあります。


結論:うねりの犯人は髪内部の「水素結合」


湿気による髪の広がりやうねりを防ぐ鍵は、**髪のダメージホールを埋め、「水素結合」を安定させる成分(CMC補修成分やトステア)**にあります。一時的なスタイリング剤ではなく、日々のケアで内部を補強することが「正解」です。

この記事では、なぜ雨の日に髪が広がるのかというメカニズムを解説し、湿気に負けない髪を作るための具体的な成分とケア方法をご紹介します。




髪が湿気を吸って「うねる」メカニズム


なぜ髪は湿気で形を変えてしまうのでしょうか?それは、髪の毛が持つ3つの結合のうち、最も不安定な結合である**「水素結合」**が深く関わっています。


髪の形状を支える3つの結合


髪の形状は主に以下の3つの結合で支えられています。最も弱く、水に触れるとすぐに切れてしまうのが水素結合です。

  • シスチン結合(S-S結合)

  • イオン結合

  • 水素結合: 最も弱く、水に触れるとすぐに切れてしまう結合。


水素結合が切断されるとき


ドライヤーで髪を乾かすとき、切れていた水素結合が再結合され、髪の形状が固定されます。しかし、湿度の高い空気に触れると、空気中の水分子が髪の内部に入り込み、再結合していた水素結合が再び切れてしまいます。

この結合がランダムに切れることで、髪はセット前の**不安定な状態(元のクセの形)**に戻ろうとし、うねりや広がりとして現れるのです。


CMC(細胞膜複合体)のダメージが湿気に弱くする


健康な髪であれば、外部からの水分の侵入はブロックされますが、ダメージを受けた髪は、構造的な穴があるため、湿気の影響をより受けやすくなります。


髪の穴埋め材:CMC(細胞膜複合体)とは?


CMCとは、髪の毛の内部で細胞を繋ぎ合わせ、水分の通り道や栄養の流出を防ぐ接着剤のような役割を持つ成分です。これが流出すると、髪の内部に**スポンジのような空洞(ダメージホール)**が生まれます。

空洞化した髪は、湿度が高い環境下で、その空洞を埋めようと**大量の水分を吸い込みます。**この急激な水分の流入が、水素結合の切断を加速させ、うねり・広がりをさらに悪化させます。


湿気対策の正解は「補修と安定化」の二段構え


単にオイルで表面をコーティングするだけでは一時的な対処に過ぎません。根本的な湿気対策は、内部の欠陥を修復する**「CMC補修ケア」と、結合を安定させる「結合安定化ケア」**のセットで行うことです。


1. 【内部補修】CMCを埋める「脂質成分」をチャージする


流出したCMCを補い、髪の構造を再構築することが最優先です。成分表で以下の成分を探してください。

対策カテゴリー成分名(キーワード)期待できる効果セラミド類セラミドNP、セラミド2、ユズセラミドCMCの主要成分。失われた脂質を補い、髪内部のバリア機能を修復。高浸透オイルホホバオイル、マカデミアナッツオイル髪内部に素早く浸透し、髪を柔らかくし、CMCの代わりに水分調整を助ける。


2. 【結合安定化】湿気に強い結合に置き換える


髪の内部に入り込む水分子の働きを直接ブロックし、水素結合の切断を防ぐ、より積極的な対策です。


💎 最新の湿気対策成分:トステア(ジヒドロキシプロピルアルギニンHCI)


対策カテゴリー成分名(キーワード)期待できる効果結合安定化剤ジヒドロキシプロピルアルギニンHCI(トステア)湿気に強い新たな結合を髪の内部に作り、水分子が侵入しても水素結合が切れないように固定する。シリコン類アモジメチコン、シクロペンタシロキサン髪の表面に均一な膜を張り、キューティクルの隙間を埋め、水分子の侵入をブロックする(外部コーティング)。

<トステアのメカニズム>

トステアは、髪の内部に入り込むと、湿気で切れてしまう水素結合の代わりに、水分子よりもトステア自身と結合します。これにより、水分子が原因で髪が形状変化するのを防ぎ、高い**耐水性(湿気に強い状態)**を実現します。特にうねり毛に対して非常に有効です。



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まとめ:あなたの髪は「水」ではなく「構造」で悩んでいる


雨の日に髪が広がるのは、髪の内部構造が欠陥を抱え、不安定な水素結合が露わになっているからです。

湿気に強い髪を作るためには、CMC補修成分(セラミドや良質なオイル)で髪の土台を整えた上で、トステアやアモジメチコンなどの成分で結合を安定化させ、外部からブロックすることが最も確実な「正解」です。


今日から始めるロジカル・アクション


  1. シャンプーを見直す: 洗浄力の強すぎるシャンプーはCMCを流出させるため、**アミノ酸系(ココイル〜)**に切り替える。

  2. トリートメントにトステア/セラミドを足す: 成分表を確認し、トステアセラミドなどを含むアイテムを毎日使用する。

  3. ドライヤー前の撥水: 乾かす前に、アモジメチコンなどを含むアウトバスオイルやミルクで表面をコーティングする。


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湿気に強い髪は、一時のスタイリング剤ではなく、**成分による「内部構造の安定化」**によって作られます。

今日から成分表をチェックし、あなたの髪の悩みにトステアやセラミドが効く理由を理解すれば、もう雨の日に怯えることはありません。ロジカルなヘアケアで、自信を持って湿気対策をしましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



【​執筆者略歴】

  • 才野 栄治

  • 1969年6月広島県生まれ

  • 1985年美容師に3店店舗で経験

  • 2000年4月神戸元町にhair design Ray'zをオープン

  • 2012年2月三宮に移転、くせ毛に特化したサロンに

【資格・実績】

  • 美容師免許

  • 管理美容師免許

  • 美容師歴40年

  • ​延べ10万人を担当

  • 講師活動、延べ1.000人を指導

  • TV出演、雑誌掲載多数

  • 受賞経験、カットコンテスト入賞など


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