アウトバストリートメントは「オイル・ミルク・ミスト」どれがいい?美容師が髪質と目的別で徹底解説!
- 才野 栄治

- 10月29日
- 読了時間: 8分

「ドライヤー前になんとなくオイルをつけているけど、本当にこれがベストなの?」
店頭の棚に並ぶ、数々のアウトバストリートメント(洗い流さないトリートメント)。ヘアオイル、ヘアミルク、ヘアミスト……。どれも「髪にいい」と聞くけれど、結局自分の髪質や抱えるダメージに、どれが一番効果的なのか、迷ってしまいますよね。
美容室で日々お客様の髪質と向き合っていると、多くの方が「自分の髪に合わないタイプ」を選んでいる現状に気づかされます。間違った選択は、せっかくのケア効果を半減させるだけでなく、ベタつきやボリュームダウンといった新たな悩みを引き起こすこともあります。
この記事では、現役美容師である私が、アウトバストリートメントの主要な3タイプ、「オイル・ミルク・ミスト」の決定的な違いを徹底的に解説します。
「なぜそのタイプがあなたの髪に必要なのか」という理由から、具体的な使い方、さらには「最強の重ねづけテクニック」まで、すべてお伝えします。
この記事を最後まで読めば、あなたはもうアウトバストリートメント選びで迷うことはありません。無駄な投資を卒業し、あなたの髪質を最大限に活かす**「運命の一本」**を見つけ、理想の美髪を手に入れましょう。
第1章:結論から!3つのタイプの「決定的な違い」
アウトバストリートメントとは、文字通り**「お風呂の外(Out Bath)」**で使うトリートメントであり、その最大の役割は「髪の補修・保護・質感調整」です。
役割は同じですが、そのアプローチ方法が「オイル・ミルク・ミスト」で大きく異なります。
これらの違いは
オイル: 水分や栄養を閉じ込め、しっとりした重めな質感になります。
ミルク: 髪の内部にまで栄養を閉じ込め、自然な質感んになります。
ミスト: 髪に水分と栄養を均一かつ素早く補給し、軽やかな質感になります。
このように、それぞれの「テクスチャー」が、そのまま「機能」と「仕上がり」に直結しているのです。
第2章:タイプ別徹底解剖!メリット・デメリット
ここからは、あなたの髪質に合うかどうかを判断するために、各タイプの強みと弱みを深掘りします。
2-1. ヘアオイル:最強の「バリア&ツヤ出し」のプロ
ヘアオイルは、3つの中で最も油分量が多いタイプです。
メリット
熱からの保護: ドライヤーやヘアアイロンの熱から髪を守るコーティング力が非常に高いです。頻繁にスタイリングする方には必須。
ツヤと指通り: 表面に均一な油膜を張ることで、光を反射しやすくなり、しっとりしたツヤとサラサラな指通りが生まれます。
ハイダメージに効果的: 剥がれたキューティクルを油分でしっかり接着し、髪の絡まりを防ぎます。
デメリット・向かない人
重さが出やすい: 軟毛や細毛の方が付けすぎると、根元のボリュームが失われ、ベタついた印象になります。
内部補修力は低い: 表面保護に優れる反面、髪の内部にまで水分や補修成分を送り込む力はミルクに劣ります。
→こんな人におすすめ
剛毛、多毛、乾燥毛で、広がりを抑えたい人。
ロングヘアで、毛先の絡まりや枝毛が気になる人。
ヘアアイロンやコテを毎日使う人。
2-2. ヘアミルク(エマルジョン):内部補修と保湿の万能選手
ヘアミルクは、油分と水分を乳化剤で混ぜ合わせたタイプ(エマルジョン)です。
メリット
高い保湿力と内部浸透: 水分を多く含むため、髪の内部にまで補修成分(ケラチンなどタンパク質)や潤いを届けるのが得意です。
万能なまとまり: 髪の内部から乾燥を抑えるため、しっとりしつつも重すぎない、自然なまとまり感が出ます。
ベタつきにくい: オイルほど表面に残りすぎないため、初心者でも失敗しにくい使いやすさがあります。
デメリット・向かない人
即効性のツヤは控えめ: オイルのような、塗った瞬間の強いツヤ感は出にくいです。
熱保護力は中程度: 熱から守る力はありますが、アイロンの高温にはオイルを追加した方が安心です。
→こんな人におすすめ
乾燥によるパサつきや、髪の硬さが気になる人。
ミディアムヘア〜ショートヘアで、軽さを残しつつまとまりが欲しい人。
パーマをかけていて、潤いとウェーブの弾力をキープしたい人。
2-3. ヘアミスト(ローション):浸透力と軽さのスペシャリスト
ヘアミストは、油分が少なく、主に水分と水溶性の補修成分で構成されています。
メリット
最高の軽さ: ベタつきが一切なく、軟毛・細毛のボリュームを絶対につぶしたくない人に最適です。
瞬時の浸透: 粒子が細かいため、髪の内部まで瞬時に補修成分が届き、ハリやコシを与えます。
均一に塗布しやすい: スプレータイプなので、手が届きにくい内側や、髪全体にムラなく成分を行き渡らせやすいです。
デメリット・向かない人
広がる髪には物足りない: 髪の表面を抑える力が弱いため、剛毛や強いクセ毛の**「広がり」を抑える力**には期待できません。
保護力は弱い: 熱や摩擦から髪を保護する力は、他の2タイプに大きく劣ります。
→こんな人におすすめ
軟毛、細毛、猫っ毛で、ふんわりした仕上がりを最優先したい人。
朝の寝癖直しや、日中の**乾燥対策(水分補給)**として手軽に使いたい人。
第3章:【目的別】あなたのための「最適解」
自分の髪質や悩みに合わせて、具体的な製品選びのアドバイスをご紹介します。
3-1. ダメージがひどく、ツヤと保護力が欲しい方へ
選ぶべきタイプ: ヘアオイル
成分のヒント: アルガンオイルやホホバオイルなどの植物性オイルを主成分としたものがおすすめです。特に、熱に強く酸化しにくい「メドウフォーム- δ-ラクトン」などの熱保護成分が含まれているかチェックしましょう。
使い方: タオルドライ後、毛先を中心にしっかり揉み込むように塗布します。根元近くは避けて、少量から調整してください。
3-2. 髪が広がりやすく、しっとりまとめて落ち着かせたい方へ
選ぶべきタイプ: ヘアミルク
成分のヒント: セラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分と、加水分解ケラチンなどの補修成分がバランス良く配合されているものを選びましょう。
使い方: 塗布後、目の粗いコームでとかし、成分を均一に広げると、よりしっとりとしたまとまり感が得られます。
3-3. 髪が細く、ボリュームは絶対に残したい方へ
選ぶべきタイプ: ヘアミスト
成分のヒント: PPT(ポリペプチド)や加水分解コラーゲンなど、髪にハリやコシを与えるタンパク質系の成分が含まれているものを選びます。
使い方: ドライヤー前に根元に少し多めにスプレーし、乾かしながら根元を起こすようにブローすると、立ち上がりやすくなります。
第4章:美容師直伝!効果を最大化する使い方
どんなに良いアウトバストリートメントを選んでも、使い方が間違っていては効果は半減します。プロのテクニックを実践しましょう。
4-1. 基本の「塗布量と場所」
【NG:絶対避けて!】
いきなり根元からつける(ベタつきの原因)。
濡れた手のひらに出したトリートメントをそのまま毛先にまとめてつける(ムラの原因)。
【OK:正解の使い方】
タオルドライを徹底: 水滴が垂れない程度に水分をしっかり拭き取ります。水分が多すぎると、トリートメントが薄まり、効果が下がります。
塗布は「中間から毛先」: 髪の真ん中より下、特に傷んだ毛先から塗布を始めます。
手に伸ばして揉み込む: 手のひら全体に薄く広げ、髪を掴むように、もみ込むようにして成分を浸透させます。最後に手に残ったごく少量を、表面と顔周りの髪に馴染ませましょう。
4-2. 最強の組み合わせ「ミルク&オイルorミスト&オイルの二刀流」
髪の悩みが複合的な場合(例:ハイダメージで広がるが、熱もよく使う)は、役割の異なる2種類を重ねて使う「二刀流」が最強のケアとなります。
【ファーストステップ:ミルクorミスト】 タオルドライ後、髪の内部に潤いを補給するためにミルクorミストを塗布。
【セカンドステップ:オイル】 ドライヤーで完全に乾かし終わった後、ツヤ出しと外部保護のためにオイルを毛先中心にごく少量塗布。
ミストorミルク→オイルの順に、水分量の多いものから重ねていくのが、成分を効率よく浸透させる鉄則です。
まとめ:あなたの髪質が「運命の一本」を教えてくれる
アウトバストリートメントは「オイル・ミルク・ミスト」のどれが優れているかではなく、「あなたの髪質と目的にどれが最も適しているか」が全てです。
最高の保護力とツヤを求めるなら → オイル
内部の潤いとまとまりを求めるなら → ミルク
最高の軽さとハリコシを求めるなら → ミスト
今日から、パッケージの「イメージ」ではなく、**「成分と機能」**を見て選んでみてください。あなたの髪が本来持つ美しさを最大限に引き出す、正しいヘアケアで、毎日の生活をより豊かなものにしていきましょう。
【執筆者略歴】
才野 栄治
1969年6月広島県生まれ
1985年美容師に3店店舗で経験
2000年4月神戸元町にhair design Ray'zをオープン
2012年2月三宮に移転、くせ毛に特化したサロンに
【資格・実績】
美容師免許
管理美容師免許
美容師歴40年
延べ10万人を担当
講師活動、延べ1.000人を指導
TV出演、雑誌掲載多数
受賞経験、カットコンテスト入賞など




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